Cal.1570 2番車芯の磨耗と加工(1)
おかげさまで多くの修理依頼をいただき、お預かり期間が どんどん長くなる状況で、更新よりも一刻でも早く修理を、ということで長らく更新を怠ってしまいましたが、なんとか落ち着いてまいりましたので、このコラムも少しづつ再開していこうと思います。
この間、題材になりそうな写真もかなり撮りためました。希少なムーブメントや珍しい故障原因等、多種多様の事例が紹介できそうですのでご期待ください。
写真右はロレックスCal.1570の2番車を拡大した画像ですが、オイルの切れた状態で何年も動かし続けたため、2番車の中心の軸に無数のスジ目が刻まれ、削れて段差がつくまで磨耗してしまっているのがわかります。
この場合、修理の進め方として、「当社は独自のルートを持っておりロレックスの部品も問題なく入手できます」ということで解決しそうですが、基盤となる地板の穴も磨耗しており(写真右)、2番車だけを交換したとしても、スキマとガタが生じます。
この場合は2番車を交換するよりも、軸と地板両方に加工を施すほうが得策と考えております。
これから数回にわたってその手順を公開してゆくつもりです。